アメリカのメディアを揺るがす激震、「ネットフリックス・エフェクト」?

 世界の文化の最先端を行くアメリカで、小売業界に革命を起こした現象を「アマゾン・エフェクト」と呼ぶが、メディア業界でも地殻大変動が進んでいる。

◎アメリカではCATVを追い越す5000万人の契約者

 日本の普及はまだまだのようだが、アメリカ発祥の動画配信サービスのネットフリックス(写真=本社はカリフォルニア州ロスガトス)は、本国アメリカで5000万人以上、世界では1億3000万人もの契約者を抱え、既存動画メディアに大激震を呼び起こしている。

 ネットフリックスは、他のメディアが制作した映画やテレビのコンテンツの許諾を得て、インターネットで配信するサービスだ。

 高速ネットの普及で急成長し、瞬く間に競合相手のケーブルテレビ(CATV)の視聴契約者を追い越してしまった。

◎独自の番組も制作

 昨年3月末現在、CATV6社は合計で4861万人だったのに、ネットフリックスは5085万人となった。CATVの既存顧客をネットフリックスが奪っているのは、誰の目にも明らかだ。

 ネットフリックスの方がケーブルテレビよりも値段が安いからだが、最近は自身で映画などの番組を制作し、配信している(写真)。独自のコンテンツは、今や1000時間を越える。

 コンテンツへの投資は、今や60億ドルに達し、ディズニーのスポーツチャンネル「ESPN」に次いでテレビ・ネット業界の2位にまで上り詰めた。

◎AIを活用して個々の視聴者の好みを把握、番組制作に活用

 ネットを利用しているから、世界中の視聴者のビッグデータを収集し、どの作品を、どの媒体で観たかなどの100以上の項目で個々の会員ごとに把握し、AIを活用し、最も好まれるテーマや筋書きなどに沿ったコンテンツを制作する。

 これまでのハリウッドの映画制作とは、全く異なった手法だ。有名俳優を高額なギャラで起用し、著名監督が自身の勘で制作する手法は、当たれば大きいが、ヒットしないと大損、となる。しかしネットフリックスの持つビッグデータをAIを使って制作する手法なら、間違いなくヒットする。

 2013年の独自作品『ハウス・オブ・カード』はデータを基に、俳優や監督を決めたのだという。

◎株価50ドルの時に推奨されたが

 僕が、ネットフリックスの名前を聞いたのは、ある証券会社の主催する講演会で、アメリカの急成長企業として推奨銘柄として挙げられた時だ。

 当時、1株50ドルくらいだったように思う。僕は、為替リスクが嫌なことと海外株は情報がとりにくいことが理由で、外国株には手を出さないことに決めている(株式投資が自分の好みの会社の応援だとすれば、日本人として日本企業に投資したいではないか!)。この時も、投資などハナから考えなかった。

 ところが今見ると、200ドルを超えている。惜しいとは思わないが、驚嘆する。何しろたった数年で株価は4倍になっているのだ。すべてネットフリックスの成長性が見込まれてのことだ。

◎株価は純利益が10倍もあるディズニーの倍

 例えば既存メディアの雄で、ネットフリックスの実に10倍も純利益が多いディズニーの株価は、ネットフリックスの約半分しかない。

 この関係は、販売台数が100分の1以下しかないEVのテスラが、株式時価総額でGMを抜いたことと似ている。常に未来を先取る株式マーケットでは、小売りではウォルマートやメイシーズ、シアーズなどよりもアマゾン、自動車ではテスラ、メディアはネットフリックスが市場を制すると見ているのだ。

◎「ネットフリックス・エフェクト」の勢い

 割高なケーブルテレビの契約を打ち切り、ネットフリックスに移行する動きは、いずれアメリカのテレビなどのメディア業界全体を揺り動かすだろう。

 この「ネットフリックス・エフェクト」ならぬ勢いは、通信大手のAT&Tが総合メディア企業のタイムワーナーとの合併を決めるなど、通信とメディアの大再編のきっかけを作っている。

 日本のテレビ、映画、新聞などのメディア業界が、既存秩序の上で安泰でいられるのは、そう長くはないのかもしれない。

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