松下幸之助「成功の金言1」 ――成功は運のせい

松下幸之助 成功の金言 365」(PHP)より。

もっとも私は“運”というものを否定するわけではない。むしろそういうものがお互い

人間の上には、目に見えなくても働いているのではないかと考える。

私自身の経営については、このように考えてやってきた。すなわち物事がうまくいったときは“運がよかったのだ”と考え、うまくいかなかったときは“その原因は自分にある”と考えるようにしてきた。つまり、成功は運のせいだが、失敗は自分のせいだということである。

物事がうまくいったときに、それを自分の力でやったのだと考えると、そこにおごりや油断が生じて、次に失敗しやすい。実際、成功といっても、それは結果での話であって、その過程には小さな失敗というものがいろいろある。それらは一歩過てば大きな失敗に結びつきかねないものであるが、おごりや油断があると、そういうものが見えなくなってしまう。けれども、“これは運がよかったから成功したのだ”と考えれば、そうした小さな失敗についても、一つひとつ反省することになってくる。

反対に、うまくいかなかったときに、それを運のせいにして“運が悪かった”ということになれば、その失敗の経験が生きてこない。自分のやり方に過ちがあったと考えれば、そこにいろいろ反省もできて、同じ過ちはくり返さなくなり、文字どおり「失敗は成功の母」ということになってくる。

そして、そのように“失敗の原因はわれにあり”という考えに徹するならば、そうした原因を事前になくしていこうという配慮ができるようにもなる。だから、それだけ失敗も少なくなって、どういう状況下にあっても経営が順調にいくという姿になってくるわけである。

・・・・松下幸之助【実践経営学】より